認知症に対するBFI療法の効果とは? 皮膚への触覚刺激の可能性 

BFI研究会

3月19日のBFI技術研修会では、痛みやしびれに対してはもちろんの事、今回は認知症に対しても効果が出た症例報告がありました。

まだ完全に解明されていない認知症に対し、新たな光が見えた発表でした。

やはり、ここでも重要なのは触覚刺激です!

BFIの技術的な変化として

今回は午前中に技術指導がありました。

以前から皮膚刺激が脳にもたらす影響については講義でもありましたが、皮膚に対する接触面積を拡大することによって、幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンやセロトニンの分泌が促進されるという研究結果のもと、BFIの接触の仕方にも改善があった。

BFIの技術

以前よりも前腕全体を使って接触する技術になりました。

 

認知症に対する効果とは?

午後は何例か症例報告がありましたが、その中でも超絶凄まじい症例がありました。

ある認知症の方で、不穏などの周辺症状が顕著に出ておりスタッフの方も困り果てている状況らしく、身内の方にBFI研究会の代表が呼ばれて赴いたそうです。

認知症の周辺症状とは?

認知症疾患と高齢者本人の素因(生来の性格など個人の特性)に環境の変化やスト レス、不安・焦燥感や疎外感などが加わった結果に生じる症状でもあり、個別性が高く、介護者 を含めた環境の影響を受けやすい。また、BPSD の背景には、高齢者本人が深いやストレスを感 じるような原因が見られることが多いため、BPSD の原因を探り、不快の誘引を取り除くこと や、心地よい感覚を感じ、リラックスできる環境を提供することが重要である。

認知症高齢者の行動・心理症状(BPSD) に対する支援のあり方より引用

 

初めはとてもじゃないが近づけない状況であったが、何とか隣に座る事ができたので、座位のままBFIを施術しました。
すると、その後2日半ほどは症状が落ち着いて他の入所者と食事が摂れる状態まで回復したそうです。

もう一つは、当会とは関係はないんですが、僕の知り合いの先生の症例も凄いです。

寝たきりで会話もできなかった方が、紐を1本身体に巻いただけで座る事ができ、意思の疎通までできるようになったそうです。

この症例はもっと知りたいので、4月2日に詳しく聞くつもりです。

今の医学界の流れとして、エビデンス(根拠)が重要視されています。

そういった意味では症例数も少ないですし、エビデンスレベルは低いと言わざるを得ません。

まだ、現象に対して科学が追い付いていないのが現状なので、今後の科学の進歩に期待します。

 

認知症2例に共通すること

どちらも通常であれば見放されてしまってもおかしくない症例です。

何がここまで劇的な回復をさせたのでしょうか?

答えは皮膚刺激です。

認知症の原因として一般的には、アミロイドベータやレビー小体というたんぱく質の沈着が多いといわれています。

まだ原因など詳しいことはわかっていませんが、もし仮にそうだとしてもあくまで現象としての結果であって、沈着したままであっても回復する可能性はおおいにあるのではないかと思っています。

その手がかりになるのが、皮膚への触覚刺激です。

しかも、強くない微弱な刺激なのです。

この辺を解説すると長くて難しくなってしまうので簡単に説明すると、皮膚からの触覚刺激は脳に届けられます。

これが強い刺激だと脳が攻撃とみなしてしまうのですが、弱い刺激だと逆の反応がみられるのです。

自律神経の反応、及びその中枢である脳、顕在意識と潜在意識の境界であるデフォルドモードネットワークの働きなど、さまざまな好影響が起こってくるのです。

 

脳がもたらす奇跡的な回復

先ほどの症例もそうですが、他にも奇跡的な回復を遂げた例がテレビで取り上げられてました。

・脳梗塞後の麻痺した手に一日中「動け」と念じていたら、実際に動くようになった。
・認知症の進行例だったのが、社交ダンスの音楽がキッカケで踊ることが出来て、海外旅行にも行けた。
・脳の半分を摘出した子が健常者と遜色ないほどに回復した。

このような出来事を『奇跡』と片付けてしまっては進歩がありません。

脳の可塑性(失った機能を他の部分が補う)という壮大なテーマの研究が進めば、奇跡が奇跡ではなくなる日も近づくでしょう。

そんな明るい未来に対して、認知症の方が減ると困る人たちもいるのでしょうが・・・・・

そんなこと言ってる場合ではないのです

 

まとめ

すでに社会問題になっている認知症。

まだ解明されていない事が多いとはいえ、紹介した症例に共通している事は脳と皮膚の関係性と可塑性です。

BFI療法やヒモトレ・ゴム紐症候群に共通した皮膚を介した触覚刺激が何かしらの影響を与えていることは間違いないと確信をもっています。

薬で進行を遅らせるという後ろ向きな考えではなく、触覚刺激の可能性を信じて取り組む方が増えることを願っています。

 

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