骨粗鬆症は無症状なので過剰な心配はいりません 痛みが改善した症例つき

老夫婦

なんだか骨粗鬆症の薬を長年飲んでいる患者さんが意外と多くてかわいそうなので、まだ診断はされてないけど不安だという人の為に、頭の片隅じゃなくてど真ん中に置いておいて欲しいので記事にします。

最後に症例も載せてあるのでぜひご一読ください。

骨粗鬆症患者は推計1100万人といわれている

骨粗鬆症とは骨密度の低下・骨質の劣化により骨強度が低下し、骨折しやすくなる疾患及び状態をいいます。

男女比でいうと2:8で圧倒的に女性に多い疾患です。

年齢では60代で3人に1人、70代で2人に1人と高齢になるほど増加していきます。

これからさらに高齢化社会になっていく事は確実なので、皮肉を言えば医療側からしたらおいしい市場な訳です。

 

骨粗鬆症の症状とは?

驚くことに、骨粗鬆症それ自体は無症状なんです。

骨粗鬆症とは

整形外科 プライマリハンドケアブックより出展

 

骨密度の低下は年齢とともに誰にでも起きてくるものです。

「転んだ時に骨折しやすいですよ」といってるだけで、必要以上に怯える事はないのです。

転ぶことを恐れるあまりに、通常の歩行時にも意識しすぎたり、よけいな力が入って歩行バランスがおかしくなる事だって考えられます。

実際、骨折しやすいといったところで同じ個体で同時に骨折するかしないかのデータなんて取れないので、骨量がちょっと上がったくらいで予防できるものではありません。

全身の骨格

さらに、転倒予防のために筋肉をつけるといった単純な理論にも疑問が残ります。

 

椎体圧迫骨折という病名に騙されないように

メディアなどで取り上げられている『いつのまにか骨折』という名前を聞いたことがありますか?

読んで字の如く、いつのまにかなんですね。

正式には【脊椎圧迫骨折】といいます。

圧迫骨折のイメージ図

いつのまにか骨折のCMを観たことがある方もいるかと思いますが、なんだかイメージしただけで何とも恐ろしい現象だなって思いませんか?

『なんだか最近腰が痛いなぁ』と感じ整形外科に行ったとします。

そこで、レントゲンを撮り医師が『ほらここ 骨折してますよ』と説明されたらどうですか?

え? いつ? 転んでもないし、尻もちもついてないのに?
さぞかしビックリしてどうしようと不安になりますよね。

高い所から飛び降りた、尻もちをついたなど明らかに原因があれば【外傷性圧迫骨折】を考慮しなければいけません。

しかし、年齢を重ねれば誰もが骨に変化は起きてきます。

骨が潰れてくる事だってあります。

じゃあ、潰れていく過程で痛みがあったのか?

純粋にその過程で痛みがあった方はいないはずです。

だからいつのまにかなのです。

 

安心して下さい いつの間にか骨折は自然な現象ですよ

人は年齢を重ねれば骨だってそれ相応に変化してきて当然なんです。

骨が潰れたから痛いのではなくて痛くてレントゲンを撮ったら潰れていた

と考えるのが自然です。

極端な話、白髪が生えてきて病気だと思いますか?
シミやしわができて病気だと思いますか?

それが一転、身体の中で起きていて自分の目で確かめられない状況で医師から『骨折してます』なんて言われたら…そりゃへこむわ!

これ意外と多い状況なんですよ。

自然に起きてくる現象に対して過剰に反応する方が身体に不自然な反応を起こしてくるかもしれません。

 

カルシウム摂りましょう!みたいな栄養指導の無駄

骨にはカルシウム!ってイメージしやすいですよね?

今ではサプリメントで色んな栄養素をたっぷり詰め込んで

こんなに入っているから身体にいいですよ~

って売ってますけど結局は化学合成されたものですし、添加物も入ってるしどこまで身体にいいのかは疑問です。

 

欧米人は日本人よりも骨粗鬆症患者が多い

日本人よりもはるかにカルシウムを摂取しているのに骨粗鬆症による骨折が多いという現実…この矛盾をどう受け止めるかが大事です。

残念ながら、牛乳飲んでも骨は強くなりません。

 

骨粗鬆症の薬って効果あると思ってませんか?

骨形成型と骨吸収抑制型の2種類あるが、このうちEBM(根拠に基づく医療)で効果を証明されたものは骨吸収型のうちのビスホスホネートと塩酸ラロキシフェンです。

なんと骨折発生率を半分に減少させたらしいのですが、これが本当ならすごい事なのですが実際には数字のトリックが隠されているのです。

 

薬の3年間投与で、椎体骨折がプラセボ群に6%発生したが、投与群では3%に減少した。

つまり、3年間で椎体骨折が100人中6人に発生していたところ、服用例では100人中3人に減少したという意味である。

逆にいうと恩恵を受けたのは100人中3人だけで、他の97人は服用してもしなくても骨折の発生には関係しなかった事になる。

NNTでは33.3人に1人が骨折予防効果があったというのが正しい言い方である。

~整形外科プライマリケアハンドブック~より引用

 

この数字を高いと見るか低いと見るかは人によって違うでしょう。

ただし、一般的にいわれているほどの効果はなさそうです。

薬である以上副作用も念頭におかなければいけません。

急性腎不全・消化器系・顎骨壊死・癌など発生頻度は低いかもしれませんが、無視してはいけません。

 

転倒予防のためにすること

運動すること自体はいいことだと思います。

家でゴロゴロしてばかりでは色んな意味で意欲がそがれますし。

ただし、筋肉をつければ予防できるみたいな単純な理屈ではありません。

その筋肉を動かしたり、関節を動かしたりする為の指令は脳から起こっています。

指令を出して各部が動く道筋がスムーズじゃなければいくら筋肉を鍛えたところで無意味になってしまいます。

 

どうすればスムーズな道筋ができるのか?

・まずは骨粗鬆症に対して過剰な不安をなくすこと→→不安などストレスとなる感情があると脳疲労が取れず代謝バランスに影響します。

・運動は無理なく楽しくやるべき→→予防のためにと意気込んでやると、運動量が多くなったりして継続できなくなってしまいます。
楽しく運動した結果、身体にいい影響がでるくらいの気持ちでやりましょう。

 

いつのまにか骨折(圧迫骨折)の記憶が蘇って激痛になった症例

ちょっとした段差を飛び越えて着地した時に腰が痛くなり、翌朝起きたら激痛になっていたと。

・1年位前に外傷(急性期のケガ)ではない脊椎の圧迫骨折で入院した
・高血圧 薬を飲んでいる
・睡眠導入剤飲んでる

来院時の様子は、椅子から立ち上がるのもやっと、歩くのもゆっくり。
問診時はとにかく「痛い」しか言ってくれないので、息子さんにお話を聞くことにしました。

 

息子さんの話からわかった腰痛の真実

普段は娘家族と同居している。
娘さんたちは仕事をしているので、患者さんの今の状態では面倒を見れないので当院の近くに住んでいる息子さんの所に引き取られたと。

息子さんも仕事してるので困った様子でした。

圧迫骨折で入院した時は、転んだり尻もちをついたりハッキリとした原因はなかったようです。
ただ、痛みが強かったので入院することになったと。

患者本人に何度か確認したが、「早く娘のところに帰らないと」とは言っていたが「帰りたい」とは1度も言わなかったのです。

この事からどちらの家族にも気を使っているのがうかがえます。

 

圧迫骨折について説明し理解を得られた

まず、前回の圧迫骨折に関してはハッキリとした受傷機転がないことから潰れた骨が原因ではないと説明しました。
おそらく何かしらの環境の変化やストレスになるような事があったんだろうと。

今回の腰痛の原因としては些細な事なので、それがここまでの症状を出すとは考えにくいのです。

入院した時の記憶が蘇って不安・恐怖の感情が出た事によって、症状が強烈になってしまったと推測されることを説明しました。

すると、息子さんが「確かに!すごく納得できました」と言っていただき、帰宅してからのアドバイスとして

・圧迫骨折は大丈夫だから早く良くなるよと言葉をかけてもらう
・痛みのために食事が摂れない状況なら入院も考える

この様になぜこんなにも痛みが強いのかを家族の理解を得られるとその場で結果を出せなくてもお互いに気分が楽になります。

 

まとめ

骨粗鬆症自体は無症状です。

骨折しやすいといっても若い人でも骨折する以上、骨量増加でどこまで予防できるかは不明なのです。

転倒予防には脳にとって良い環境を作ることの方が重要で、病院に行くとすぐに検査を勧められますが、よくよく考えて無駄な検査や投薬はしないようになって欲しいです。

 

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