BFI研究会の提唱する脳疲労とは?  肉体疲労と脳の関係

疲労

人が感じる疲労の正体とは?

当院でよく出てくるフレーズに【脳疲労】というのがあります。

実際にストレスや感情といったものは脳で処理されているので、広い意味で脳疲労と表現しています。

しかし、まだ一般的にはこういった考えは浸透していないので、この機会に科学的にわかっている範囲で紹介したいと思います。

今回は運動時や肉体労働による身体の疲労についてです。

≪乳酸が溜まったから疲れる≫の間違い

以前から筋肉疲労は乳酸の蓄積によって起こると言われてきました。

僕もそう習いましたし、なんの疑問も持たずに信じていました。

しかし、脳科学の勉強をしていくと今までの常識に???と頭に浮かんでくることが多々あります。

今では乳酸は悪者ではないというのが通説になっています。

 

乳酸は疲労回復物質だった

そもそも乳酸が疲労物質だと言われ始めたのには訳があります。

1929年にイギリスの生理学者アーチボルドビビアン・ヒルという人により『運動によって体内で乳酸が産生され、それが蓄積する事によって疲労に繋がる』という理論でノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

当時の科学では大発見だったのでしょうが、今となってはその理論は否定されています。

運動時に乳酸が産生される事は間違いではないのですが、乳酸自体は脳神経にとって重要なエネルギー源であり、疲労を早く回復させるために必要な物質だったのです。

しかし、当時は血中に乳酸が多くあったから、これが疲労の原因だと思われてしまったのです。

ノーベル賞を受賞するくらいだから間違いないだろうと盲信してしまい、反論しようものなら叩かれる環境だったのかもしれません。

内容よりも誰が言ったかって方が重要になってしまうのです。

権威に弱い現代人は思い当たる節があるのではないでしょうか

こういった事は珍しいことではなくて、運動器の臨床にも多く見受けられます。(画像診断による原因のはき違い)

 

運動時の疲労には脳が大きく関わっている

運動した時の疲労が乳酸の蓄積ではない事はおわかりいただけたでしょうか?

では、何が疲労を感じさせているのでしょうか?

その答えは脳(自律神経系)です。

脳の画像

 

ちょっと思い浮かべてみてください。

例えば、全力で走るとどうなりますか?

運動時の疲労

 

・呼吸が乱れる
・心拍が上がる
・体温が上がる
・汗が出る

こんな反応が出るでしょう。

これらを調節している場所といえば・・・・・脳ですよね。

これらの反応を感知して、元に戻そうとする働きを恒常性と言います。

そのエネルギーは大きく、疲労を感じずにそのまま運動を続けていては恒常性が追い付かないで最悪死んじゃいます。

そうならない為に、疲労を感じさせているのですね。

 

これから注目されるであろう『イミダゾールジペプチド』

体内にあるたんぱく質の一種で、抗酸化作用が高く注目されてくる物質だと思います。

渡り鳥を祖先にもつガチョウの骨格筋に豊富に含まれているようです。

渡り鳥

そして、もっとも高濃度に含まれているのが羽を動かす胸肉です。

ここで、単純な思考なら「じゃあ疲れた時には鳥の胸肉がいいのね♪」となるのでしょうが、BFI研究会の代表は素朴な疑問を挙げました

ニワトリ

「渡り鳥のような羽をたくさん動かしてる部分に多く含まれるって言うけど、ほとんどの人が食べてる鳥って飛ばないよね。

そんな胸肉食べてどれだけ摂取できるのかわかったもんじゃない」と。

たしかにそう思いませんか?

テレビで取り上げられると飛びついてしまう人っていますよね。

もし、今後『イミダゾールジペプチド』が紹介されるのを観たら、先ほどの疑問を思い出して検討してみてください。

注:遺伝子的にはニワトリにも含有されてるみたいですが、飼育環境や栄養価を考えるとジビエがいいんじゃないかと思います。

 

まとめ

従来考えられていた乳酸が溜まるから疲れるというのは間違いだった。

運動時に起こる呼吸・心拍・血圧などの変化を元に戻そうとする脳こそが疲労に関わっていた。

疲労回復に~が良いといわれる物も、冷静に考えると効果に疑問が出てくる。

食べ物・栄養素に気を配るのであれば、サプリメントだけではなく食材や調味料の質を考えるのもいいと思います。

大げさなCMに振り回されない社会になるといいですね。

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