骨折に対する応急処置(整復・固定) ~受傷から3か月間の経緯~

手首の骨折 整復前

見事なまでの右橈骨完全骨折

72歳 女性

H29年2月4日 自宅で風呂掃除をしていて、足を滑らせ転倒し手をついて受傷した。

来院時の状態がこちら↓

骨折の変形 側面

 

ずれた骨を戻す整復操作後がこちら↓

骨折 整復後

 

先ほどより良い状態になりました。

整復操作時に力ずくで戻そうとすると、患者さんの防御反射が働いてしまい、ただの引っ張り合いになってしまいます。

すると、暴力的な整復になり痛みも強く十分な位置に戻りにくくなるんです。

この時の痛みや恐怖の感情は、後に出てくるCRPSに繋がるので慎重にやるべきです。

関節や皮膚の受容器(センサー)の機能を知っていれば、力技ではなく患者さんの苦痛も大幅に軽減できるのです。

 

接骨院では骨折に対して当日の応急処置のみ認められており、その後の経過を診るには医師の同意がないといけません。

なので後はCRPSを発症しない事を祈るばかりでした。(整形外科医でCRPSを熟知している人は少ない)

CRPSは骨折に限らず、外傷を診る上で非常に重要なことなので、ご紹介します。

複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome: CRPS)

ふくごうせいきょくしょとうつうしょうこうぐん

概要

複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome:CRPS)とは、カウザルギー(causalgia:灼熱痛)や反応性交感神経性ディストロフィー(reflex sympathetic dystrophy: RSD)など様々に呼ばれていたものを1994年の国際疼痛学会で「骨折などの外傷や神経損傷の後に疼痛が持続する症候群」として定義されました。

症状

先行する外傷や手術などの後に、その程度や治癒過程から説明できない、もしくは釣り合わないであり神経の支配域とは無関係な疼痛が現れます。CRPSに特徴的とされる症状は様々です。灼熱痛、感覚過敏・感覚低下、皮膚の色の変化(発赤、チアノーゼなど)、発汗異常(過剰、過少)、皮膚温度の異常(温度の上昇、低下)、皮膚の浮腫み・萎縮・色素沈着、骨の萎縮、筋肉の萎縮など、相反する症状が含まれます。また、しびれ感、不快感として表現されることもあります。慢性化すると関節拘縮をきたし難治となることもあります。

診断

CRPSを特異的に診断する検査法はありません。他の疾患を除外するために、血液検査、画像検査等を行います。国際疼痛学会が提唱する診断基準(1994年あるいは2005年の新診断基準(表))を参考に診断を進めます。早期に診断を行い治療につなげることが重要です。

CRPS の臨床的診断基準(2005年、国際疼痛学会)

  1. きっかけとなった事故や怪我などのイベントに不釣り合いな持続性の疼痛
  2. 以下の4項目のうち3項目に少なくとも1つの症状があること
    • 感覚異常:感覚過敏、触れた程度での異常な痛み
    • 血管運動異常:皮膚温の左右差、皮膚色の変化、皮膚色の左右差
    • 発汗異常/浮腫:浮腫、発汗の変化、発汗の左右差
    • 運動異常・萎縮:可動域の低下、運動障害(筋力減少、振戦、ジストニア)、萎縮性変化(毛、爪、皮膚)
  3. 評価時に以下の2つ以上の項目に少なくとも1つの徴候があること
    • 感覚異常:疼痛過敏(針で刺すことに対して)、感覚異常(軽い接触、温冷刺激、体部の圧刺激、関節運動に対して)
    • 血管運動異常:皮膚温の左右差(1℃超)、皮膚色の変化、皮膚色の左右差
    • 発汗異常/浮腫:浮腫、発汗の変化、発汗の左右差
    • 運動異常・萎縮:可動域の低下、運動障害(筋力減少、振戦、ジストニア)、萎縮性変化(毛、爪、皮膚)

上記の症状と徴候をよりよく説明する他の診断がないこと。
(感度85%、特異度69%)

治療

確立された治療方法はありませんが、早期に治療を開始することで回復が良好になるといわれています。薬物療法、理学療法を行い、疼痛の軽減を優先すること、患者さんごとに有効な治療法が異なることを意識して治療を行います。薬物療法では非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、オピオイド(モルヒネなど)、ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液(商品名:ノイロトロピン®)や三環系抗うつ薬、抗てんかん薬などが投与されますが確立はされていません。交感神経ブロックは早期に行われ有効な症例もあります。

~ 慶応義塾大学病院 医療・健康情報サイト~ より引用

その後の処置~経過

当院での処置が終わり、そのまま近くの整形外科に行ってもらいました。

その時のレントゲン写真がこちら↓

骨折 整復後のレントゲン写真

 

整形外科で臨時の医師により再度整復され固定をされたようです。

 

そして、2日後に院長の診察があり、レントゲン透視下において整復されたのですが、かなり強引だったようでメチャクチャ痛かったと言ってました。

整復後に固定された時のレントゲン写真がこちら↓

ダメなギプス固定

 

この固定の写真を見た時は僕自身の血の気が引くのがわかりましたが・・・あえてコメントは差し控えます。

 

後日、今までのレントゲン写真や報告書を持ってきていただけたので、実際の手の様子を診せてもらいました。

ギプス固定中

レントゲン写真で想像はしていたが、実際に見た瞬間は卒倒しそうになりました。

手首の角度がキツすぎなんですよね。

 

整形外科での治療も含めたリハビリ

整形外科では、レントゲンでの骨折部の確認とリハビリとして手のマッサージをしてもらっていた。

お話を聞く限り、無茶な他動運動はやられなかったみたいで良かったです。

あとは、自宅で日常の家事や洗濯などはなるべくやるようにしていたそうです。

 

3か月ぶりにマナ接骨院に来院

受傷から3か月経過し、骨折部の状態は良くなってきてるが指の痛みや関節が動かしにくいので5月8日に当院に来院されました。

 

3か月後の状態や今後の施術方針、骨折に対する固定で注意すべき事、なぜ拘縮が起こるのかについてはまた記事にしますので、今回はここまでとさせていただきます。

 

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