手首の捻挫に対するプライトン固定で驚異の改善

女性の手

患者さんの手を見た瞬間、骨折かと思い「転んで手つきました?」と聞いてしまうほど手首が腫れていました。

BFI研究会での【ニューロフィクス】という固定の概念を知っていたからこそ、冷静に対応できたと感じています。

選択を間違うと、取り返しのつかない状態になっていたかもしれない症例です。

手首をちょっと捻っただけなのに信じられない程の痛みで眠れない

75歳 女性

・大きめの洗濯バサミが劣化していて解体する為、留め金を外すのに力を入れて捻って受傷。
・直後よりも、時間の経過とともに痛みが強くなってきました。

 

症状

・とにかく何もしてなくても痛みが強く、夜眠れなかったと。
・手首に異常な腫れと熱感、そして皮膚の色の変化。←通常のケガでは起こらない症状です。

手首を捻挫した女性の手 正面 手首を捻挫した女性の手 側面

 

この腫れと皮膚の色を見て、ビビらずに対応できるのはBFI研究会のおかげだと本当に思います。

普通なら病院送りですよ。

 

処置

ケガによる痛みではありますが、症状を診る限り患部の処置だけでは完全にダメだと判断し、BFIで施術してから患部の安静と皮膚・関節センサーの興奮を抑える目的でプライトン固定をしました。

手首のプライトン 下側 手首の固定後

 

固定をされた安心感と痛みの説明をしたので、帰るころには手の痛みも表情も改善していました。

 

翌日以降の経過と施術

翌日に来院され、「痛みはだいぶ良くなっていて夜眠れた」と喜んでましたが、手部全体にむくみが出ていました。

ケガから3日後の正面

 

初検の時と比べると、局所の皮膚の色は少し改善されていましたが、全体的に赤みがありまだ予断を許さない状態なのでBFI施術後に同固定しました。

さらに翌日、痛みそのものは改善してきていますが、まだむくみが残っているので固定は継続しましたが、固定材料であるプライトンの範囲を少しだけ短くカットしました。

ケガから4日後 正面 ケガから4日後 側面

見た目はまだメッチャ痛そうですよね。

2日後に来院し、お呼びするなり「今日は楽しみにして来ました。」とおっしゃいました。

何事かと思い「何でですか?」とお聞きしたところ、「固定されながらも、使ってて痛くないから固いの取れるかと思って。」との事でした。

実際に、固定を外して患部の手を診てみると、見違えるように手指のむくみが引いていました。

ケガから5日後 

 

初めに来院してから5日でこの状態です。

この凄さはなかなか伝わらないと思いますが、ニューロフィクス万歳!って感じです。

すぐに包帯も何もない状態で不安や怖さはないかお聞きしたところ、「まだちょっと痛みはあるけど大丈夫!」との事なので、固定なしで過ごしていただくことにしました。

念のため、「またいつでも固定をする事は可能なので、心配しなくて大丈夫ですよ。」とは説明しました。

2日後に来院した際には、ほぼ痛みもなく「固定してない方が楽」という状態になっていました。

 

なぜこんなにも症状が強く出たのか?

純粋なケガの症状だけでいえば、こんなに腫れたり、むくんだり、皮膚の色が変わる事は通常では起こりにくいです。

ではなぜ、今回はこのような経過を辿ったのでしょうか?

それを知るには【痛みの分類】から理解するのが近道です。

お時間のある時にでもお読みください。⇒BFI研究会による痛みの分類に新提起  

ケガをする前から脳疲労の蓄積があれば症状が強く出ることもありますし、痛みが強くなってくれば不安の感情が大きくなり、それが症状に影響する事があるんです。

痛みは感覚+感情で成り立っているので、ケガをした患部だけを診ていては重大な見落としがあります。

やはり、【CRPSを未然に防ぐ】事を念頭に置いている医療者(まだ少数ですが)に任せるのが大切です。

接骨院で骨折を継続していく場合は、レントゲンや医師の同意など面倒な部分はありますが、少なくともリハビリの時期になったらきちんと考えた方がいいと思います。

 

まとめ

ちょっと捻っただけなのに信じられないくらい痛かったり、腫れたりした場合は、整形外科や接骨院でCRPSについて聞いてみる事をおすすめします。

ほとんど知らないようだったり、めんどくさそうな態度をするようなら転院も検討する必要があるかもしれません。

 

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