痛みをテーマにした書籍では、久々のヒット作に出合いました。
【脳と痛みの関係】を追及している僕としては、出てくる登場人物の疑問・不信感などが手に取るように伝わってきました。
フィクションではありますが、良くできた物語として痛みの改善に役立つ本である事は間違いないです。
ノイズを受け入れる事ができれば・・・
この書評は僕個人のものなので、著者には一切関係ございません。
腰痛マーケットを手放したくないから真実が広まらない
前書きの部分から核心を突く内容に正直ビックリしました。
僕たちがずっと言い続けてきた事が言語化されているなんて「よく書いたな」と感心しちゃいます。
腰痛に関する真実が広まらない理由としておおよそ次のように書かれています。
日本と海外の医療保険制度の違いなどの理由はあるが、誤解を恐れずに言えば『腰痛マーケット』は想像以上に巨大であり、正しい情報が広まると困る人が多いからではないか。
~まえがきにかえて~ より
そして、書店の健康本コーナーには秀逸なタイトルの本が積まれており、ネットで検索すればゴッドハンドやカリスマがどんどん生産されている現状があります。
そんな状況を危惧し、
腰痛に対する思い込みや誤解を解き放ち、脳に刻まれた古くて間違った知識や考えを最新の科学的研究に基づいた正しい情報に置き換えることを目的として書かれました。
~まえがきにかえて~ より
あなたが思い込まされてきた情報と真逆のことを言われると、改善する為の答えが目の前にあってもすぐには受け入れにくいかもしれません。
それをノイズと言います。
そのノイズを受け入れ、あなたが改善している未来に向かって今から行動すれば確実に身体は変化してきます。
椎間板ヘルニアという診断名は想像以上にダメージが大きい
腰痛に関する診断名の中でも【椎間板ヘルニア】は一般の方にも認知されている方だと感じています。
ネットで検索すれば、手術や様々な治療法、患者の体験談など不安を助長する情報に溢れています。
そんな情報を目にしたら、怖くて日常生活でさえ無意識に制限してしまうかもしれませんね。
仕事であっても、欠勤や退職に追い込まれてしまうかもしれません。
でも安心してください!
むしろ、椎間板ヘルニアと言われたら「だったら良くなるから大丈夫だ!」って思いましょう。
そう思えるだけの根拠が実は多く存在しているのです。⇒椎間板ヘルニアについて
脊柱管狭窄症でも同様です⇒脊柱管狭窄症 神経根型の症状は手術をしなくても良くなります
感情が痛みを増強させる
物語の中では、主人公が通常業務に加え後輩の指導も任され、3か月間の激務をこなしたにもかかわらず、その後輩は体調を崩しあっさりと休職することに。
その数日後、腰痛が悪化! 激痛に変わってしまう。
ここで【脳と痛みの関係】を知っていれば、痛みが強くなった原因を自分で理解する事ができるので冷静に対処する事が可能になります。
それができないと、泥沼の腰痛人生が始まってしまう恐れが出てくるのです。
怒りや悲しみの感情は、痛みと密接な関係にあるという事を覚えておいてください。
こういった痛みをBFI研究会では【脳由来の痛み=ソフトペイン】と呼んでいます。
このソフトペインは肉体次元では何の損傷もないので、不安になる必要はありません。
腰痛改善のための『認知行動療法』
認知行動療法とは、痛みについての間違った認識を修正する『認知療法』と普段の生活で出来ることを増やしていく『行動療法』組み合わせた治療法の事です。
まだ日本では馴染みの薄い方法だと思います。
簡単にいえば、【今までの情報を取っ払って、良くなる為の情報を入手し、怖がることなく身体を動かせる思考になりましょう】って感じですかね。
これでもすんなり入ってこないですか?
要は、【ほとんどの身体の痛みは骨格の形の異常が原因じゃないから安心して動いていいんですよ】っていう事なんです。
今までの常識(?)からすると、骨が変形してる・椎間板が飛び出て神経を圧迫してるなど、自分の努力では修復できないものが原因だとされてきたので、一度診断が下ると「自分では治せない」と思い込まされてきたんですね。
「いやいや、そんなことはない! 自分は騙されないぞ」って思いますか?
それをノイズと言います。
僕は、どんな方法であっても改善しているのであればそのままでいいと思ってます。
これは色々試したけど、思うように改善していない方に向けて書いています。
今まで色々と試した結果が今の症状です。 そこから抜け出すにはノイズを受け入れて、今までとは違った情報を取り入れていくのが改善の近道なんです。
なんだか難しい話に感じるかもしれませんが、現に『認知』を変える事によって症状が改善するというのは僕の中では当然のことになっています。
この本を読んだだけで楽になった人もいるくらいですから。
激痛の時でも動いた方がいいのは事実だが
物語の中で、主人公が痛みに悶え苦しんでいる状況でも頑張って外出するのが出てきます。
たしかに動ける範囲で動いていた方がいいのは事実です。
ですが、どうせ動くならここで何度も出てきている『認知』を変えてからの方が断然良いです。⇒激痛の時には安静にする? 動いた方がいい? その前に知っておくべき対処法
痛みという症状は大げさにいえば脳からの危険を知らせるサインなので、安静は絶対悪ではありません。
余計な不安を大きくすることがダメなので、まずは痛みに対する認知を変える事からやってみませんか?
壮絶な腰痛経験者だからこその説得力
この本の著者も椎間板ヘルニアと診断されてから、入院・手術・様々な治療法を経験し、それでも改善せず自らの意思で治療の一切を止め、腰痛を克服した経験の持ち主です。
認知行動療法は、気合と根性で治す方法ではなく、きちんとしたエビデンス・ロジックに基づいたものなので一度真剣に今までの痛みに関する思い込みを捨て、この本を読むことを強くおススメします。⇒Amazon
僕自身もぎっくり腰や四十肩を経験していますが、すでに【脳と痛みの関係】知っていたので「治らないかも」という心配は全くありませんでした。
この不安や心配がないという事がどれだけ痛みの改善に有利かは身をもって体感していますので、どうか信じて行動してみてください。
応援しています!
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