痛いマッサージは効いてる訳じゃない! その理由と悪化し来院した2症例

痛すぎるマッサージ

このブログでは何度か触れている話題ですが、痛みの治療や施術に強い刺激を求めるのはナンセンスです。
唯一得られる効果があるならば、それは『気分的なもの』だけです。

まぁその結果として痛みが楽になる現象があるからこそ厄介なのです。⇐これこそが【脳と痛みの関係】を如実に表してますね

どんな刺激にも耐えられる強い人はそのままでいいですが、なかなか良くならない人や余計に酷くなってしまったことがある人はぜひ読んでいただきたい内容です。

本当に痛い時にマッサージは危険かも

巷では揉みほぐし屋さんが増えてますね。

疲れた時にリラクゼーションとして利用するのはいいと思います。

リラクゼーション

適度なマッサージは気持ちいいですからね。
ただ、明らかな痛みやしびれがあるのに漫然と受けるのはどうかと思います。

受けている時は気持ちいいからという理由で続けていると、なかにはその刺激なしではいられなくなったり、刺激に慣れてきてどんどんエスカレートしてさらに強い刺激を求めるようになる人もいたりします。

そうなってしまうと、初めの目的は【痛みを取るため】だったのが、いつのまにか【マッサージを受ける】ことが目的になってしまっています。

手段と目的の関係が崩壊してしまっていますね

 

全体重をかけるマッサージ・予告なしに行われるバキッとやる矯正・トンカチで叩く・変な棒でグリグリやられるなど、世の中には色々な強刺激の治療法が存在します。

それで良くなるのは、あまり症状が酷くない場合やそういった刺激が好きな方が多いのかもしれません。

たしかにやってもらった感は満載だと思います。

そのやってもらった感が脳でポジティブに働けば症状も良くなる事は理解できます。

しかし、逆に症状が酷くなってしまった・その時はなんとなくいいような感じがするがすぐに戻ってしまうなんて方もいるでしょう。
自分でも気付かないうちにそういった思考に陥ってしまうと、後から否定されても話が通じなくなってしまうので注意が必要です。

ジャンクフードが食べたくて食べたくてしょうがない人に、日本そばや京懐石をすすめたところで受け入れるはずがないのです。

ジャンクフード

どんなに素材の素晴らしさや身体にいいことを話したところで響くはずがないのです。

交わることがないのでお互いが不幸になり時間とお金とエネルギーが無駄になってしまいます。

 

気軽なマッサージも注意が必要

以前ニュースでも取り上げられていましたが、軽い気持ちで受けたマッサージで事故が発生したりもあります。

公益社団法人 日本あん摩マッサージ指圧師会

 

厳密にはマッサージは国家資格保有者のみに認められた行為であるので、マッサージと言わずリラクゼーションと掲げています。

多くは国家資格を持たず、研修を受けただけの人でも出来てしまうのです。
言い方を変えただけのグレーな感じ。

マッサージに限らず、強い刺激の施術にはこういったリスクもあるという事を覚えておいてほしいです。

 

実際に僕も経験があるのですが、自分の指が痛くなるほど強く押したり、肘を使って体重を乗せたり……。

それで治るわけでもなく、ほぼ毎日それの繰り返しで「何やってんだろうなぁ」って思っていました。

それでいて背中や腰の筋肉が固いまま。

先ほども書いたように、目的と手段がごっちゃになってるんですね。

結構そういった病院や接骨院って多いんじゃないかと思います。

 

マッサージ好きだったのに必要なくなった人もいる

全体からするとかなり少数ですが、マッサージが好きで月に何回も通っていた患者さんやちょっと疲れてくるとすぐにマッサージをしてもらいたくなる患者さんがいました。

単純な話、それ以外の方法を知らなかったんですね。

「やってもらった時だけ楽だけど次の日には戻ってる」なんて言ってました。

当院に来院された患者さんも、目的がマッサージであればお断りするのですが、きちんと話を聞いて理解をしていただき施術をしていくうちに「そういえば最近マッサージしてほしいと思わなくなった」と仰ってました。

まだこういった方は少ないとは思いますが、症状への理解が深まると施術に対する意識も変わり受け身じゃなくなってくるんですね。

 

症例1 痛いマッサージの後から左脚の激痛で休職を余儀なくされ加須市から来院

32歳 男性の方で、10日前から腰痛を発症し、近くの整体院に行き強烈な揉みほぐしを受けました。

4回施術を受け腰痛は落ち着いてきたが、それ以上に左太ももの裏に激痛が出てきました。
あまりの痛みに仕事を休まざるをえなくなってしまったようです。

会社の上司に相談したところ、その方がマナ接骨院時代の患者さんで早期に症状が良くなったこともあり紹介され加須市から来院されました。

 

症状

・左下肢(ふともも)痛の為歩行困難
・安静時痛(じっとしてても痛い)

・触診をすると腰の筋肉が鉄板のように硬い
・両足の太ももがパンパンに張ってる(右の方がすごい)

 

既往歴

1年前に整形外科で椎間板ヘルニアと診断され、約半年間ブロック注射を受けたが症状不変。
通院を止めてその後自然に症状消失。

 

説明

まず1年前の椎間板ヘルニアについては【重要】椎間板ヘルニアの本当の原因とは?に書いてある通り症状とは関係がないと説明。
ヘルニアの事は完全に忘れてしまっても問題ないとお話ししました。

それと腰痛を改善させる為にとった方法がマズかったと。
痛みを取るために行ったのにさらにそれ以上の痛みを与えられたら、よほど強靭な体でもない限り悪化する確率は上がります。

本来痛みの改善には正反対の優しい刺激の方が望ましいんですけどね。

 

初来院から5日後には痛みに変化が出てきた

2日後に来院した時点では症状に変化はありませんでしたが、5日後になり楽な時が出てきたと。

初めにあった太ももの痛みは軽減してきたが、お尻の方に痛みを感じるようになってきたようです。
この時には鉄板のようだった腰の硬さが和らいできました。

その後も太ももの筋肉の緊張もなくなってきてこのまま順調に終わるかと思ってましたが、お尻の痛み(10分歩くと耐えられないほど)がしつこく残った状態が続きました。

それも半月が経った頃から次第に軽減されてきて、初来院から5週間後にはほぼ痛みを感じることなく仕事にも完全復帰できました。

今後は間隔を明けながら通院していただく事になるのでヒモトレ用に100均のヒモをお渡ししました。

 

とにかく初めから何度も何度も画像上の椎間板ヘルニアと腰痛は関係ないと説明しました。
そして、痛みがある時は強い刺激は避けるべきだと念を押しました。

毎回強い揉みほぐしで調子がいいのであればそのままでもいいと思います。
ですが、受ける前よりも悪化してしまったら明らかに脳のキャパオーバーなので止めた方が賢明です。

「この痛みを乗り越えればきっと良くなる!」って訳じゃないですからね。

 

久しぶりの仕事で重いものを持ち筋肉痛に

しばらく仕事を休んで力仕事をすれば、そりゃ筋肉痛にもなりますよ。 普通のことです。

筋肉痛になったところで「このまま治らなかったらどうしよう」って考えませんよね?
ちょっと風邪っぽくなっても「なんか変な病気かも」って考えにくいと思います。

 

本来、痛みもそういうものなんですよ。
痛みの原因や意味をきちんと知っていれば、必要以上に怖がる必要はありません。

それを《なんちゃってセラピスト》や《手術しかやってきてない医師》が痛みを扱うからおかしなことになってるんです。
人間は機械じゃないので、部品の交換や修理で問題が解決するようなものではありません。

 

症例2 毎回ゴルフ後は腰痛で悲惨な状態になり紹介で草加市から来院

53歳 男性で7年位前にシャワーを浴びていて後ろに転倒し、動けない程の腰の痛みが出ました。
それ以降、頻繁にぎっくり腰のようになっているということです。

腰・頚とも疲れが溜まってきたり、ゴルフの後はツライ状態になっていた。

特にゴルフのラウンドの後は悲惨な状態で、毎回ゴルフ帰りには整骨院で悶絶するようなマッサージを受けてきていたと。

そんな事を何年も繰り返してきたようです。

 

強刺激からの脱却

当院に来る9日前と5日前にゴルフがあり、例のごとく地獄のマッサージとハリ治療を計3回受けたが、あまり変化がなかったようです。

そこで、ある時知人から当院の話を聞いていたのを思い出し、来院したという経緯でした。

僕からの説明は、気持ちいいくらいならともかく我慢しながら受ける強い刺激は身体には非常に悪いと何回も念を押しました。

そして、画像診断による椎間板ヘルニアも症状とは関係がない事を強調しました

 

おそらく、初めは今までの刺激に比べたら雲泥の差があるので戸惑いが生じるでしょう。

しかし、痛みの改善にとってリスクの大きい強刺激は必要ないですし、それでも「やっぱり強い方がいい」という事であればそれまでの話です。

すべての人に理解され、納得されるとは思っていませんが、どうか気づいてほしい。

整形外科勤務時代を含めて、難治性症状を数多く観てきた経験と確信があるからこそ、自信を持って説明や施術をしています。

 

初見から5日後に3回目の来院。
症状はかなり楽になっており、腰のベルトもしなくなったようです。

これまで物凄いマッサージを受けてきたが、そんなものが必要ないという事が少しはご理解いただけたようでした。

 

ゴルフ後の腰痛に変化が

一概にゴルフと言っても、練習で何百球と打ってもさほど痛みは酷くならないようで、コースに出ると終わった後が悲惨な状態になっていたんです。

この事からも、単純な身体の負担で痛みが出ているんじゃないというのがおわかりいただけるでしょう。
打つ回数だけなら練習の方が圧倒的に多いですからね。

この事を説明して、患者さん自身も納得してくださりました。(痛みがあると自分の体であっても細かい状況まで把握できないんですよね)

それを医療者が教えてあげられればいいんですが、深い問診や洞察力がないとこれができないんです。

 

今回の患者さんは仕事の付き合いで、どうしてもゴルフをしなくちゃいけないそうです。

この時点で感情の捻れは生じますし、さらに【ゴルフに行くと腰が痛くなる】と強烈にインプットされているので、今までは負のループから抜け出せなかったんだと感じます。

 

当院初検から4週間後、遂にコースに出てのゴルフがありました。

結果としては、腰・頚ともまだ痛くなる状態ではありましたが「今までよりかなり楽」だと。

さらに驚いたのが、翌日の身体の状態が今までと全然違って楽になっているようでした。

実際にグイグイ・ボキボキしなくても、こういった変化は起こるんです。

 

残るは脳疲労対策

痛みの原因論と方法論に関して理解をしてくださいました。

ただ、猛烈にお忙しい方で何か月も休んでなく、さらに「年内は休めないだろう」ともおっしゃってました。

こうなってくると肉体疲労ではなく、脳疲労の軽減が大事になってきます。

その為にも攻撃的な刺激ではなく、タッチケアの優しい刺激の方が脳の機能上有利に働いてくれるのです。

めちゃんこ頑張ってる患者さんの為に、今後も随時施術は継続していく予定です。

 

まとめ

今回の2症例の患者さんは、当院で実際に良くなった方からの紹介で変化が出るまで通院してくれたので症状が良くなった上に今後の不安もかなり消すことができました。

ずっと整形外科に通っていたら【椎間板ヘルニアの恐怖】から逃れることはできなかったでしょう。

ずっと強いマッサージや揉みほぐしを受けていたら筋肉は硬くなるし、本当に痛くなったときに治りにくくなってしまうのです。

本来、動物は攻撃的な外力から身を守るための防御反応で受け付けないはずなんですけど、変に植え付けられた思い込みって怖いですよね。

あなたはギュッと強く掴まれるのと、優しく包み込まれるのをイメージしてみて、どちらに安心感を感じますか?

脳が安心感を感じる方法こそ、症状改善の近道だと僕は思います。

 

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