7年前の骨折をキッカケに、CRPSの症状に悩まされ続けてきた方の症例です。
まだまだゴールは遠いですが、総合的に判断して改善していく症状なので、根気よく全力でサポートしていきます。
自転車で転倒して右橈骨頭骨折。 手術後からCRPSへ移行し7年間治療を受けてきた
63歳 女性
自転車で転倒した際右手をついて橈骨頭(肘の関節で親指側の骨の端っこ)を骨折。
近くの病院へ入院し、骨折部をワイヤーで留める手術を受けました。
手術後、右手が茶色に変色し人差し指に痛みが出てきたと。
人差し指の痛みがどんどん強くなってきたので、ワイヤーを抜く再手術を受けたがそれでも痛みは引かず、執刀医からCRPSと診断されました。
CRPSとは、複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome)の略で、骨折、捻挫などをきっかけにして、慢性的な痛みと腫れが持続し、その結果、運動制限を引き起こす病態です。手術を契機にして発症することもあります。以前は反射性交感神経性ジストロフィー(reflex sympathetic dystrophy:RSD)とも呼ばれていました。神経損傷を伴う場合もありますが、単純な打撲でも生じることがあり、原因となる刺激とは不釣り合いな痛みが続き、通常では痛みを起こさないような刺激でも疼痛が生じることもあります。
再手術の後も症状が変わらず、神経が癒着しているという説明を受け、「本当に良くなるのなら」との想いで神経を剥がす手術を何度か受けたが、手術を受ける度に痛みが酷くなってしまったと。
手術を受けた病院の他にもペインクリニックで神経ブロック、鍼治療などもやったが、どれも効果がなかったそうです。
最後の手段として、体内に電極を埋め込む『脊髄刺激法』の手術を受け、気休め程度の改善は感じるが期待していた効果では全然ないと。
概要
難治性の痛みに用いる治療法のひとつで、脊髄を電気的に刺激して痛みを和らげようとするものです。脊髄は、痛みの感覚を脳に伝える伝導路となっています。脊髄に電気信号を送ると、体の中の痛い部分に心地よい刺激を与えることができ、痛みを和らげていきます。この方法は1960年代に考案された歴史の古い治療法です。電極装置も改良を重ね、より耐久性に優れたものが開発されております。そして、どのような痛みに効果があるかもわかってきたため、対象をきちんと選択して行うようになった結果、有効率も高く報告されるようになってきました。
以前は、脊髄刺激電極装置を埋め込んだあとは、MRI検査が受けられないという欠点がありましたが、近年、MRI対応の刺激電極装置が開発されており、埋め込み後のMRI検査も可能になってきています。装置について
脊髄に電気刺激を与えるために、最終的に2種類のものを体に埋め込みます。ひとつは導線(電極リード)で、脊髄に電気刺激を与える電極が先端についています。もうひとつは、電気刺激を発生させる刺激装置(ジェネレーター)で、回路と電池を内蔵しています。
慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト より引用
もうここまでやって改善がないと、絶望しか残らないのかもしれません。
諦めきれずにCRPSで検索し、松伏町のマナ接骨院に来院
ある日、ホームページからの問い合わせで、『CRPSです』というタイトルでメールがありました。
タイトルを見た瞬間、一気に体内のボルテージが急上昇しましたね。
メールだけでは判断しきれないので、患部の写真を送っていただきました。
何度かメールでのやり取りをし、直接診てみない事には話が進まないので来院していただくことになりました。
症状
約7年間もの間、毎日起きた時から右手の灼熱痛が強く、気温が上がる日中以降は耐え難いと。
ほぼ1日中保冷材で右手を冷やしてないといられない。
特に酷いのは、右人差し指の第2~3関節の間。
手部の皮膚の色の変化あり。
指の関節はちゃんと動く。(関節拘縮はない)
手首も掌屈(手の平の方へ曲げる)は手術痕の影響もあり若干抵抗はあるが、背屈(手の甲の方へ曲げる)は正常。
その他、肘の痛み・肩を動かした時の痛み。 とにかく、右腕全体に痛みの症状がありました。
説明
現状、痛み・灼熱感とも強い状態ではあるが、関節拘縮のないタイプなので改善はしやすいし灼熱感も良くなってくるとお話ししました。
現時点では難しいとは思うが、常に冷やしていると血管が収縮(縮む方)してしまい、いざ保冷材を外した時に血管が拡張(広がる方)し体温が上がるという作用が起こるので、その認識は持っておくようにお話ししました。←水風呂に入り、出た後に身体がポカポカする感じです。
僕の中では改善する理由や道筋が視えているんですが、患者さんが信じ切れるには至っていません。
なぜコメディカルに過ぎない接骨院でここまで言い切れるのか?
それはBFI研究会代表 三上先生に指導を受けているからです。
長年、臨床を通してヒトの痛みについて追及してきたからこそ、CRPSであっても対処できるのです。
BFIによる施術と方針
症状は手にありますが、極力患部には触れないようにしています。
特にCRPSの場合は、痛みはもちろんの事あらゆる刺激を避けたいんです。
ここが、脳と痛みの関係を知っているか、知らないかで大きく違ってきます。
このことがもっと認知されれば、少なくとも医原性のCRPSは起こらないはずなのです。
整形外科のように、ヒトを単なる物質・機械のように扱っていると、患部にばかり目が行き、挙げ句今回の患者さんのような結果になってしまうのです。
医療者ですらこんな状況ですから、患者さん達はさらに知らないので僕の話を信じるのにかなり時間がかかってしまいます。
この状況を何とかしたい! しなくちゃいけない!と思っています。
初診からすぐにゴールデンウィークに入る事もあり、患者さんと相談し毎日来院していただけるという事なので「今年は休んでる場合じゃない」と予約での施術のみ受け付けていました。
4日間とも、しつこいくらいに改善する理由を説明し、僕だけが頑張るのではなく患者さんの理解・協力も必要だと力説しました。
実際の患者さんの症例も紹介しました⇒足の骨折からCRPSを発症し痛みが持続していた症例
右手の変化は、前腕(肘から手首までの間)のむくみと皮膚の光沢感は少し軽減しましたが、この程度の変化では患者さんが自覚するまでには至りません。
灼熱感に関しては、長年の経過により脳(特に無意識)に強固な結びつきが出来上がってしまっているので、長期戦になる覚悟はしています。
してはいますが、患者さんの中で意識が変われば予想以上に早く改善する可能性はあるのです。
まとめ
受傷からCRPSを発症し、当院に来院したところまでをまとめました。
長年の痛みであっても激痛でも特別視する事はないんですけど、今回は色んな感情が入り混じって僕の熱量は上昇中です。
僕の言っていることの2割でも理解していただければ、今までの7年分をチャラにする事ができます。
そのために出来ることを全力でやるだけなので、今後の経過を含めてまた報告できるように頑張ります。
最後に、CRPSに関する多くの情報は悲観的になるものが多いので、あまり見ない方がいいと感じています。
どうせ調べるなら、希望がもてる情報に触れてたほうが確実に良いですよ!
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