今回の記事はかなり長くなっております。
膝が痛いという方はかなり多いですが、長年痛みを抱えている方の中で本当に治ると希望を持って治療や施術を受けている人はどれだけいるのでしょうか?
軟骨がすり減って・年のせいだから・体重を落とさないと
まぁ色々と希望を持てないような説明を受けて、そう思い込んでしまい本当に痛みが取れない方が非常に多いのが実情です。
昔の話ならいざ知らず、現在でも本気で軟骨のすり減りで痛みが出るなんて言ってる医療者は思考停止状態じゃないかと。
医療者であるならば最新の情報を取り入れ、実際の症例と照らし合わせてどっちの情報が正しいのか、軟骨の再生はされてないのに痛みが取れたものに対してどのように考えるのか。
そろそろ本気で検討する時代になっています。
医者が言ってるから、昔からそう言われているからなんて通用しなくなっています。
感性の鋭い患者さんは気づいていますからね。
膝の軟骨には痛みを感じる神経は存在しない
病院でも説明され、サプリメントのCMでも言っているし、あなたの周りの人も言っているしほとんどの人が軟骨がすり減ってるから痛いんだって思っています。
しかし、解剖学の基礎の基礎で【軟骨に痛みを感じる神経はない】って習いました。
教科書にちゃんと書いてあります。
なのにほとんどの医療者はそこを吹っ飛ばして軟骨がすり減ってるから痛いって説明してます。
教科書がすべて正しいわけではないですが、基礎中の基礎だから?もっと覚えなくちゃいけない事がいっぱいあるから?なのか疑問を持たずに臨床に当たっている医療者が多いです。
ある患者さんは、右膝が痛くて来院したのにレントゲンを撮ったら「左膝の方が悪いって言われました。」とのこと…
何の呪いですか?
これを言った医師はいらない不安を与えてどうしようと思っているんでしょうか。
言ってる本人はいたってまじめに説明しているのだから余計にタチが悪いんですけど。
偽の手術でも痛みはなくなる
海外での臨床研究ですが、【変形性膝関節症】の患者に対して、
① 関節の中の壊死組織を取り除く
② 関節の中を洗浄するだけ
③ 皮膚を切開するだけ
この3パターンを被険者がどの方法に当たるかわからないようにして実施したところ、いずれも痛みの変化に明らかな差はありませんでした。
これには、痛みの原因だと言われていた軟骨を取り除くんだから良くなるだろうという期待によるプラシーボ効果というものがあります。
偽薬でも効くと思って飲むと実際に効果が出るというものです。
先ほどの研究のように、どの方法に当たるかわからない状況でも期待値が高まればどの方法でも結果は良くなることがあるのです。
合計180人の患者が無作為化を受けました。60人がプラセボグループに、61人が洗浄グループに、59人が創面切除グループに割り当てられました。ベースライン特性は、3つの研究グループで類似していた.
いずれの関節鏡介入群も、プラセボ群よりも大きな痛みの緩和はありませんでした.
本物の手術と皮膚を切開しただけの手術において、両者で経過に違いはなかったという結果です。
どっちにしても良くなるのであれば、より侵襲の少ない方を選んだ方が賢明ですし、プラシーボで良くなるのであれば皮膚切開ですら必要ないんです。
あなたの大事な体にメスを入れる前に知っておいて欲しい重要な事実です。
筋肉を鍛えても膝の痛みは取れない
膝が痛い人によく指導される太ももの筋肉を鍛える方法があります。
ハッキリ言って僕が勤務時に病院内でやって純粋な効果が出た人を見たことがありません。
なかには筋肉つけたら痛みが良くなったという方は実際にいます。
そういう方は普段から自宅などでも実践していたのでしょう。
筋肉がついたからというより、症状をなくすためにトレーニングをしたその過程で脳がポジティブな思考になった事により症状が消失したと考えるのが自然じゃないかと思います。
なぜそう思うのか?
それは、膝の痛みに対する筋トレは主に太ももにある4つの筋肉のうち内側広筋をターゲットにします。
その内側広筋は膝を完全に伸ばしていく最終域で働きます。
しかし、膝に痛みのある方や変形の強い場合はこの完全に伸ばすという事ができない方が多いです。
という事は筋トレをしても内側広筋が働いてくれません。
ただ足を上げてれば内側広筋がつくというものではありません。
筋トレで痛みが取れるという方は思考が前向きなので結果につながりやすいのです。
プロ野球の選手で筋肉を鍛えあげても結局回復せずに引退した例もありましたね。
ヒアルロン酸注射をしても軟骨は再生しない
整形外科では膝の痛みに対して注射をする事があります。
軟骨のすり減りが痛みの原因という理由で同じ成分を注入するという考えからです。
ヒアルロン酸を注射して軟骨が再生されたという確実な研究論文は存在しません。
なかにはレントゲン上で関節の隙間が広がった画像を見たことがありますが、ヒアルロン酸注射によるものなのかは不明です。
仮に軟骨が再生されるとしても、先ほども述べたように軟骨には痛みを感じる神経は存在しないので再生されたからといって痛みが消えるわけではありません。
それで痛みが消えるのは関節の隙間が広がったという事は軟骨が再生された=痛みが消えると思いこむ事で症状が変化したというのが最新の知見です。
プラセボ、グルコサミン、コンドロイチン、およびそれらの組み合わせと比較して、関節痛を軽減したり、関節腔の狭小化に影響を与えたりすることはありません。保健当局と健康保険会社はこれらの準備の費用を負担すべきではなく、治療を受けていない患者への新しい処方は推奨されるべきではありません。
〜股関節または膝の変形性関節症患者におけるグルコサミン、コンドロイチン、またはプラセボの効果:ネットワークメタアナリシス 引用論文〜
体重が重いから痛いという嘘
膝が痛いと体重のせいにされることがよくあります。
膝に限らず力学的には体重が重い方が各部分の負担は大きいでしょう。
しかし、それと痛みの関係性は薄いです。
実際に体重の軽い、やせていても膝が痛い人はいます。
逆に体重があっても痛みのない方はたくさんいます。
単純に体重で痛みを語るのはやめましょう。
症例1 膝の痛みに手術を勧められたが医師からの言葉に絶句し拒否
基本的に運動器の症状に対して手術はするべきではないと考えています。
その理由は、変形などの構造的な問題が症状の原因ではないからです。
MRI検査の結果、手術を勧められた
82歳 女性
右膝の痛みの為、総合病院の整形外科を受診し、レントゲン検査を受けましたが症状と釣り合う程の変化はないと次にMRI検査を受ける事になりました。
その結果、膝の内側に三角形の欠片みたいなのがあると説明され、医師から「手術でその欠片を取りましょう」と言われたそうです。
まぁここまでは整形外科としては当然の流れなので、驚きはしません。
患者さんが「手術で欠片を取れば痛みがなくなるんですか?」と質問したところ、驚愕の答えが返ってきました。
「それはやってみないとわからない」
全ての医療において絶対ということはないと理解はしています。
しかし、形の異常が痛みの原因ではないという事が分かってきている現代において、この説明には落胆を隠せません。
もちろん、患者さんも納得できるはずもなく手術は断りました。
画像で診断するという過ち
整形外科という性質上、形を戻すという事は当たり前ではあります。
・骨折した骨が皮膚を突き破って飛び出してしまってる
・骨に腫瘍ができてる
・関節に感染症を起こしてる
など手術が必要なものはあります。
その昔、レントゲンが開発された当時は身体の中が見えるようになった事が大発見でした。
痛みのある部分に骨の変化が見られれば、それが原因だと思うのも仕方のない事だったのです。
その後も様々な画像診断装置が開発された事により、骨だけではなく神経や臓器までが視覚化できるようになりました。
時代は流れ、それまでの画像に写った事で諸手を挙げて大はしゃぎしていた状況に対し、きちんと検証する時代になったのです。
そう。EBM(根拠に基づく医療)の登場です。
その結果、今まで原因だと思われていた形態異常が痛みの原因ではなかったという事が世界的な研究で解明されてきたのです。
この事からも、たとえMRI検査で欠片が写っていようとも、すぐに手術という判断は避けるべきだと考えます。
医師もこの事がわかっているからこそ、「痛みが取れるかは手術をしてみなければわからない」という発言をしたのでしょう。
あなたは、一か八かの賭けのために大事な身体にメスを入れたいと思いますか?
少なくとも僕や家族には絶対にさせる事はありません!
手術なんてしなくても痛みはなくなる
先ほどの患者さんは、手術をしないという決断をしました。
その結果、特別なことはせずに痛みはなくなったそうです。
もし、あの時手術をしていたら・・・・・・
かえって悪化していた可能性も否定できません。
こういった事は特別なことではなく、今も日本では当たり前のように行われているやりとりなんです。
最終的な判断は個人に委ねられますが、少なくとも後で後悔だけはして欲しくありません。
脳疲労からの膝の痛み
今回もちょっとした事で膝を痛めて来院されました。
今まで述べてきた経緯もあるので、膝そのものは心配しなくていいと説明しました。
その上で、脳疲労に繋がるような事はなかったかをお聞きしたところ・・・肺の検査で影が見つかったそうです。
医師からは「悪い病気じゃないから大丈夫」だと言われているが、気になってしまうと。
こういった検査に関しても個人的に思うことはありますが、専門外なのでここでは申し上げません。
テレビの影響か肺に影があるって、いいイメージはありませんよね?
いくら医師から大丈夫だと言われても気になってしまう気持ちはわかります。
こういった事が脳疲労に繋がり、以前痛みのあった場所に再び症状が出ることは珍しくはありません。
そんな時、脳と痛みの関係を理解していれば、膝に関して過度な不安を持たなくて済むようになるんです。
症例2 立っていられない程の変形性膝関節症の痛みが改善した症例
56歳 女性
主訴
両膝の痛み
・7か月前に坂道を歩いてから痛みが持続している。
・キッチンで1時間立っていられない。
・夜中に痛みで目が覚めてしまう。
職場の近くにある接骨院へ
痛みが出てすぐに職場の近くにある接骨院へ通院し施術を受けていた。
そこでは「筋肉がかたいので膝のクッションが利いていない為痛いんだ」と説明された。
施術は物凄い強刺激ではないが、痛くて心が折れると。
全然改善しないし通うのが苦痛になってもう諦めかけた時に、知人から「施術は痛くないしとりあえず行ってごらん」と紹介され来院。
既往
2年前に整形外科を受診し、レントゲン検査の結果【変形性膝関節症】と診断された。
その時、医師から「加齢のせいです」と言われ、腹が立ちその後通院していないと。
マナ整体ラボで今までの痛みの説明をことごとく否定
いつもの事ながら、痛みの改善にもっとも大事な原因についての説明をしました。
まず、整形外科でされた変形性関節症と加齢に関しては腰や膝の関節痛の原因が年齢のせいだって? それ都市伝説ですよでも解説してる通り、関係がないという事を強調しました。
そして、接骨院で説明された筋肉のかたさと痛みも同様に関係ないとお伝えしました。
直接痛みとは関係ありませんが、接骨院の施術は相当痛かったようで、筋肉のかたさが改善しないのはその痛い施術のせいだということは付け加えておきます。
なぜなら、痛みは屈曲反射を引き起こすので筋肉も縮む働きが起こるからです。
もういいかげん、医療者から発せられる根拠のない説明でどれだけ患者さんの不安を助長しているのか自覚して欲しいです。
旅行で歩いても夜中の膝痛がなかった
初検後、2回目までは症状に変化はありませんでしたが、3回目の施術後は帰宅後膝の痛みが楽に感じたと。
調子に乗ってキッチンで3時間立っていたら夜は痛くなったようです。
それでも、当院からの話を聞いていたのもあって特別心配する事はなかったとの事です。
ここすごく重要なんですけど、知らないから不安になるのであって、ちゃんとした情報を知っていればいざ痛みが強くなったとしても感じ方は変わってくるはずです。
なぜなら痛みは脳(感情)と密接な関係にあるからです。
そして、以前から決まっていた京都旅行に行きけっこう歩いたが痛みはさほどなく、夜中も痛みがなかったようで楽しく過ごせたと喜んでいました。
この旅行に行くまでの施術は4回で、期間は1か月弱です。
数か月の間酷くなるばかりだった症状がこのように変化していくものなんです。
気になっていた右ひじの症状も改善していました。
変形に対してアプローチはしていませんし、矯正術の類も行っていません。
そんな事で改善するなんて胡散臭いと思うかもしれませんが、これは事実です。
症例3 4年前からの膝の痛みが1ヶ月で改善 自粛生活で症状が悪化した症例
4年前の雪が降った後に、自転車に乗っていて滑って転倒し左膝を強打し受傷。
その後、整形外科で軽度の変形性膝関節症と言うことで溜まった水を抜いたりヒアルロン酸注射を射ったり、他にも色々と通院し施術を受けたそうです。
痛みは軽くなったりはしたそうですが、常に左膝の痛みに悩みつつ4年の時が経過していました。
完全に痛みが良くなる事はなく放置していた状況ですが、さすがに辛くなってきていたところで近所の方に紹介されマナ整体ラボへ来院されました。
慣れない外出自粛による脳疲労の結果痛みが悪化
この患者さんが来院したのが令和2年4月のことです。
テレビでは毎日のように◯◯◯人感染とやっており、外出禁止令も発動し自粛モードが強くなっていました。
無理もありません。 聞き慣れない名前のウイルスで、しかも新型と言うこともあり終息の見通しも立たない状況でしたから。
普段から外出する機会の多い方ほど、旅行に行けない・買い物に行けない・友達と会えないといった状況にストレスを感じやすくなります。
そういったストレスや得体の知れないものに対する不安などが脳疲労となり、体の不調に繋がっていく事は容易に想像できます。
その不調の一つに体の痛みというものが挙げられるんです。
それは時として、突然の激痛になったり普段からある痛みが強く出ることもあります。
この事は以前から主張している【脳と痛みの関係】と合致しています。
痛みは,単なる身体的な感覚ではなく,情動的な成分も含んだ体験で,心理社会的要因に大きく左右されることが知られています。急性痛および慢性痛のどちらでも,心理社会的要因の影響は存在しますが,特に慢性痛でその影響は大きく,さまざまな心理社会的要因が痛みの体験を左右することが指摘されています。
引用 参考文献 公益社団法人日本心理学会 慢性痛の心理社会的モデル
初回から3週間後に痛みが軽減してきた
初回の来院時は、今まで受けてきた症状に対する説明は実際には直接関係がない事を説明しました。
ですが、あまりにも今まで思い込んでいた内容とかけ離れていたので全く響いていない印象でした。
まぁよくある事なんですが、僕の中では患者さんの痛みが良くなっているゴールが見えているので挫けずに解説を続けました。
膝痛に対する施術の経過
初めのうちは痛みの変化がなかったですが、3回目の施術後に改めて痛みの説明をした次の来院時には変化が起きていました。
説明した内容は次の通りです。
・怪我から4年経っているので、組織の損傷は修復されている
・骨や軟骨の変化と痛みは関係ない
・最近になり痛みが増してきたのは膝が悪くなった訳ではない
安静時痛という、何もしていないのに痛いことってありますよね。
膝に体重をかけている訳じゃないし、動かしてもないのに痛いって意味不明だと思います。
これも意識活動の亢進というストレスや不安などによる脳の暴走が関係してるんです。
痛みという症状に対する認識が変わることにより、それまで不安だった事が少しでも解消されると嘘のように楽になる事をたくさん目の当たりにしてきました。
良くも悪くも思い込みって凄いですね。
4回目の来院時には、夜中の安静時痛はなくなっていました。
初回来院時から6週間後には、歩き始めの痛みが楽になり痛かった事を忘れている時間が増えてきていました。
骨の変形は治らなくても痛みは改善する
今回の症例に限った話ではなく、変形に対して一切アプローチしていませんですし、筋トレの指示も出していません。
一般的に膝の痛みに有効だと言われている方法は実際にはほぼ意味を為しません。
以前は僕もそういった指導をしていた時期もありましたが、純粋に効果を検証していた結果気づいてしまいました。
「意味ないな・・・」と。
脳と痛みの関係を知ってからは、なぜウォーキングや筋トレで痛みが軽減するかが理解できました。
結局、本人の意識が運動に対してポジティブに働けばいい結果が得られるんですね。
なので、イヤイヤやるくらいなら無理をして歩いたり筋トレをしなくてもいいのです。
症例4 変形性膝関節症の痛みを取りきれずで温泉療養に行かれた話
この患者さんは、僕の伝える能力が足りなかったせいで、症状を取りきれず温泉療養に希望を託した患者さんの症例です。
そこに至るまでの経過を書き綴っていきます。
5年間整形外科で治療するも改善なく薬剤師の紹介で春日部市から来院
72歳 女性 約5年前から膝の痛みで整形外科受診。
定期的に膝に注射をし、水が溜まったら抜くというのを繰り返していたが一向に良くなる気配はなく、気づいたら5年経っていたと。
医師から歩くように言われてやるようにはしてるが痛くて少し歩くと止めてしまう。
もうほとんど諦めていた時に、普段行っている薬局の薬剤師の方に当院の事を聞き来院されました。
症状
両膝痛 左>右
当院来院の前日に整形外科で左膝の水を抜いている。
・歩くと痛い
・立ち上がる時痛い
・朝起きるとこわばっている
・腫れている
・長い時間立ってると痛い
説明
そもそも、膝の変形や軟骨のすり減りと痛みは無関係だとお伝えしました。
膝の痛みで最終手段は手術だと思っている方は想像以上に多いですが、偽の手術でも痛みが改善する事もあるので《変形=痛み》に否定的な研究結果も出てきています。
アメリカの論文を基に書かれた記事でも紹介されています。⇒日経メディカル 変形性膝関節症の関節鏡下手術、症状の改善は「プラセボ効果」
初検時には変形が原因ではない事を説明し、2回目には脳と痛みの関係についてお話ししました。
約5年もの間、変形が原因だと信じ込まされてきたわけですから、いきなり僕の話を全て理解していただけるとは思ってませんが、ここをクリアしないとなかなか難しい感じはしていました。
歩くのも痛いのにイヤイヤやるくらいなら中止してもいいと説明し、良くなったら旅行や買い物など好きなだけあるけばいいとお話ししました。
膝の水が溜まらなくなり歩き方にも変化が出てきた
以前は膝に水が溜まると抜いていました。
そこまでいかなくても、ずっと膝が腫れていて曲げるのも大変だったようです。
初検から3週間後には腫れが引き、その後も水が溜まる事は1度もありませんでした。
歩き方は初めの頃は膝を曲げずにほぼ伸ばした状態で歩いていました。
見るからに痛そうな感じです。
ご本人は気づいていませんでしたが、歩き方は2ヵ月位してから膝を曲げて歩くことができるようになりました。
こういった変化が出てはいましたが、肝心の痛みは少し改善してはまたもどるといった状況を繰り返していました。
O脚が治らないと痛みはなくならないと思っている
先ほども述べたように、膝の変形と痛みは直接関係ありません。
この患者さんは変形が進んでいたので、いわゆるO脚になっています。
整形外科では『変形が痛みの原因』と言われてしまっているので、このO脚が治らないと痛みは変わらないと刷り込まれてしまっていたのです。
この思い込みを打ち消すのは並大抵のことではありません。
僕のこれまでの症例や資料で説明し、その時は納得したようでも無意識にまで刷り込まれたものはそう簡単には消えません。
だからこそ、医師をはじめとした医療者には患者さんに余計な呪いをかけないでほしいと強く強く望みます。
「温泉療養の為お休みします」と言われ悔しいが力不足を痛感
いくら腫れが引き、歩き方が良くなっていても痛みが変わらなければ実感はないでしょう。 ←ここが理解できていないと患者さんも施術する側も謎の沼に嵌ってしまうので痛みと運動機能を切り離す視点の重要性を解いている理由です。
4か月が経ったころ、テレビで観た《杖忘れの温泉》に希望を託し1泊旅行に行きました。
結果は「変わらない」という事です。
温泉で痛みが軽減するメカニズムについても説明し、今回がダメでも結果的に脳が変われば痛みは変わると希望をなくさないようにしました。
この時点では、都内に出かけたり旅行に行ったりできるようにはなりましたが、やはり痛みの大きな改善にはいたりませんでした。
この3週間後、「しばらく温泉療養してみます」という事で来院は途絶えました。
正直「やっぱりダメだったか」と悔しい気持ちにはなりましたが、もっと上手に的確な情報提供ができれば結果は変わったのかもしれません。
完全に僕の力不足です。
どうせやるならポジティブな気持ちで行ってもらいたいので、プラシーボ込みでお話して快く送り出しました。
まとめ
・軟骨には痛みを感じる神経はないためすり減っていても痛みの原因にはなりえない。
・ヒアルロン酸注射をしても軟骨の再生はされないし、痛みとは関係ない。
・筋肉や体重も痛みと結びつけるには根拠が薄い。
まずはサプリメントのCMを鵜呑みにせず、さんざん言われてきた痛みの原因を疑ってみて、「治るんだ」とポジティブになれるような情報を入手しましょう。
それだけで痛みが軽くなる人もいるはずです。
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