現在の痛みの分類には疑問をもつ人が増えている
従来から言われている痛みの分類は3つに分けられています。
1・侵害受容性疼痛
ケガをした時に起こる炎症、感染などによる痛み
2・神経障害性疼痛
神経の圧迫や損傷によって起こる痛み(金八先生がCMでやってたやつ)
*神経の圧迫によって起こる症状は痛みではなくマヒなので疑問が残る
3・心因性疼痛
画像検査などで異常が認められない、いわゆる原因不明の痛み
*精神的なものとして簡単に片付けられてしまい、精神薬の処方により人格が崩壊してしまうケースもあります。
当院が所属しているBFI研究会では従来の分類では説明しきれない症例が多数あることから、次のように分類しています。
1・ハードペイン
旧タイプでいう①に当たる(純粋に肉体次元で起こる痛み)
・ソフトペイン
脳の情報処理システムのエラー(痛み記憶を形成する神経回路の過活動)
ストレス・感情の捻れ(こうしたいのにできない・こうしてほしいのにやってくれない)など
症状に対する不安など
肉体をハードと捉えるのに対して脳内で起こる現象をソフトと表す
・ハイブリッドペイン
上記両者の混成痛
ケガの経過に対する不安や恐怖が絡んでいる
それぞれの痛みのタイプを掘り下げてみよう
・ハードペイン
足首を捻った・転んで手をついたなどによりケガをした場合、基本的にはすぐに痛みや腫れが出てくる。 動かすと痛い、足がつけないなど症状はわかりやすい。
かなりの重症であっても、適切な処置をすれば自発痛(じっとしてても疼くような痛み)は数日以内になくなっていきます。
・ソフトペイン
まず、ハードペインであっても結局のところ痛みという感覚は脳で作られ、記憶されます。
これは五感でも当然のように行われ、これがないと全ての現象が初体験になってしまい生活していく上で非常に不都合が生じてしまいます。
この記憶がないと、子どもなんかでは毎日のように高いところから飛び降りてしまうでしょう。
大人であっても、記憶が呼びもどされて歯医者の切削器具の音を聞いただけで痛みを感じる方もいるでしょう。
痛みではなくても、梅干しを想像しただけでよだれが出るなど脳と身体には密接な関係があります。
痛みの臨床において、現代社会では極めて複雑化・多様化した人類がメンタルバランスの影響を受けやすい背景とともに、感情のねじれなどによる思考回路の過活動が小脳の異常活動を引き起こし痛みの記憶が顕在化してくると考えられます。
ある出来事に対してなかなか思うようにいかず、自分一人ではどうにも対処できないとしましょう。 しかし、頭の中ではその事を常に考えてしまっている。 そのグルグルスパイラルがある一定の許容範囲を超えてしまったら…脳はその思考から離れさせるために不快な症状である『痛み』という感覚を作りだしてしまう。
これがソフトペインの正体だと推測できます。
ただ、この現象は無意識下で起きているので、説明をしても理解できる人と出来ない人に分かれてしまいます。
理解出来たから全てハッピーという訳にもいかない事もありますが、痛み・しびれがそういった事からも起こるという事実を知ってほしいです。
・ハイブリッドペイン
ケガをした後に長く続く痛みや腫れ、ケガの程度よりも強い痛みが出るなどはよく遭遇しますが、これはハードペインよりもソフトペインが大きく作用します。
【不快な痛み=感覚+恐怖・不安】と考えるとケガの程度よりも強く出る症状を説明しやすくなります。
大人よりも子どもの方が治りがいい理由として、組織の回復の時間が早いという事も挙げられますが、痛みに対するよけいな不安材料がないからだとも言えます。
大人になって初めてケガをした方の中には「いつ治るんだろう?」「本当に治るんだろうか?」と不安でいっぱいになってしまう方がいます。
そうなってしまうと症状が強く出たり、治りが遅くなってしまったりする事があるのです。
子どもでもギプスをしていて周りの大人から「ギプスすると関節が固くなるんだよ」とか「ギプス外した後のリハビリは痛いんだよ」なんて呪いをかけられ、実際に経過が悪くなった症例も経験しました。
子どもはギプスしてもリハビリの必要はないくらいが普通なんですけど、ネガティブな情報により難治性になる事もあるのです。
まとめ
単純に運動をして痛い、仕事して痛い、立ちっぱなし・座りっぱなしで痛いというのは本来自然に良くなるものである。
それでも続く痛みにはソフトペイン(脳のシステムエラー)が潜んでいる可能性が高い。
それには痛みという感覚の本質を知ること、ソフトペインが起きた背景を認め、それに対してどう対処するかを考えることが大事かと思います。
思考のトレーニングが必要になりますが、一緒に解決策を見つけていきましょう。
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