来院時には、まともに足をついて歩けなかったのが、固定処置後には痛みはあるものの普通に歩けるようになった症例です。
その固定には何か秘密があったのでしょうか!?
足首を捻ってから数時間後に激痛で足がつけなくなった
60歳 女性
学童で子どもの迎えに母親が来たため、立ち上がり足を踏み出した際捻った。
症状
・足の外側だけをついて歩くのは平気だが、足裏全体をつくと痛くて歩けない。
・足の腫れは軽度。
・足の内側の骨(舟状骨)を押すと痛い。
・足首を動かしてもあまり痛くない。
捻挫に対する処置
症状を詳細に観察した上で骨折ではなく捻挫と判断し、ニューロフィクスによるプライトン固定を施しました。
くるぶし周辺の痛みはなく足の甲に症状があったので、甲から土踏まずにかけて丁寧に型取りをし包帯で固定しました。
固定というと患部を動かないようにするというイメージがあるかもしれませんが、ニューロフィクスという概念では不必要に固めることはしません。
ここが従来の固定の概念と大きく違う所です。
固定を外した後のリハビリに費やす時間や労力が大幅に軽減できるので、患者さんにとってものすごいメリットだと感じています。
労災には『業務災害』と『通勤災害』がある
今回の患者さんは業務中のケガだったので『業務災害』になります。
接骨院と整形外科では書類の種類が違うので、会社の担当の方には『接骨院用の書類』を用意してもらってください。
様式は【7号(3)】になります。
一方、通勤途中のケガには『通勤災害』が適応され提出する書類も異なりますので、会社の担当の方にご確認ください。
様式は【16号の5(3)】になります。
初検以降の経過
翌日まで包帯固定をしたまま過ごしていただき、来院時には患部の足をついて歩けていました。
初診時の状態では、腫れの割には痛みが強かったのでBFI療法を併せて施術しました。
外傷(怪我)といえど、BFI療法で施術した方が症状の経過は良くなると感じています。
その理由は、痛みというのは痛覚だけではなく感情もセットで起こるものだからです。
BFI研究会でいうところのハイブリッドペインです。 詳しくは⇒BFI研究会による痛みの分類に新提起 従来の枠に収まらない痛みとは?
痛みの分類のうちのソフトペインが軽減されれば、その場で痛みは変わりますしその後の経過も良好になります。
4日目来院時、前日にお風呂に入る為に固定を外して歩いたが、まだ足の裏全体をついて歩くのは痛かったようです。
やはり、足底アーチ(土踏まず)を確保した固定は大事だと再認識しました。
固定をした状態での痛みは順調に改善していましたが、その後5日間くらいは足を押した時の痛みと固定なしで歩く時の痛みは残っていました。
ケガをしてから12日目で、足の内側の骨を押した時の痛みは感じなくなっており、同時に固定なしでの歩行痛も軽減し始めました。
3日間旅行に行き、固定をしない状態でもなんとか過ごせたとおっしゃっていました。
歩行の感じは、かばってはいるものの体重をかけて歩けているので患者さんも自信が持てたようです。
ただ、階段ではケガをした左足からつくと痛みがあります。 この痛みが思いのほか長引きましたが、やはりソフトペインの要素がありました。
その後も施術を継続し、結果的には約6週間で改善することができました。
まとめ
ケガをしてから少し時間が経ってから痛みが強く出た症例でした。
痛みの出方や程度を考慮し、外傷処置の固定だけではなくBFI療法も併せて施術に取り入れていきました。
ケガの痛みや腫れのコントロールにもBFIは効果があると実感しています。
足をつけない程の痛みでも、プライトンとオルソラップによる固定で歩行が可能になり、初診時の症状からすれば良好な経過でした。
ケガに対する処置の仕方にも、脳の機能から考えていくと改善までの時間が短縮できる事を多くの方に知ってほしいと願っています。
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