骨折してるかどうかのギリギリの症状を見極めるのは、非常に難しい事だと感じてます。
結果的に骨折はありませんでしたが、安心スイッチが入ると「ここまで症状の変化がでるのか!」と改めて思い知らされました。
ケガの通院は、あらゆる視点で考えられる所で診てもらいたいですね。
休診日の朝に急患からの転送電話が! 突然のケガに対応し固定処置しました
69歳 女性
受傷原因
早朝、散歩をしていて段差での着地に失敗し左足首を捻った。(捻った時にポキッと音がした)
その場から歩けず、一緒に歩いていたご主人に自宅まで車を取りに行ってもらったが、途中で知人に会い車を出してもらい一緒に帰宅しました。
帰宅から来院までの流れ
足の痛みは一向に引く気配がないので、娘さんに調べてもらい片っ端から電話をかけたそうです。
しかし、どこも繋がらない。(もちろんマナ接骨院も)
それもそのはず、その日は8月11日の祝日であり、お盆の時期とも重なって休みのところしかありませんでした。
マナ接骨院も留守電になっていましたが、僕のスマホに転送されメッセージを確認しましたが、内容までは聞き取れませんでした。
朝の時間で自宅にいたのですぐに接骨院に行き、折り返しの電話をすると先ほどの理由でケガをしてしまったという事なので、マナ接骨院まで来院していただきました。
症状
・左外くるぶしの少し上のあたりを押すと痛い
・歩く時に痛みの為に足裏全体がつけず、踵だけをついて歩いていた。
処置
痛みのわりには腫れが少なかったので、圧痛はあるものの骨折ではなく捻挫と判断しました。
痛みの症状だけが突出していた理由として考えられるのは、受傷時に『ポキッ』と音がして「折れた!」と思った事に加え、以前に手首の骨折をしてリハビリが大変だった記憶がある事などです。
患者さんとも相談し、連休中で病院が休みなのでマナ接骨院で継続していくことにしました。(念のため紹介状を書いてお渡ししました)
たとえ骨折があったとしても、処置自体は変わらないので痛みの症状を優先し、プライトンで固定しました。
松葉杖は使いたくないという事でしたので、やはり固定後も踵をついて歩いている状態です。
初診以降の痛み・腫れの経過 レントゲン検査後に変化した理由とは?
2日目
翌日の日曜日に来ていただき、BFIと固定処置をしました。
内出血が出ていて、全体的に腫れがありました。
夜中も痛みがあったようであまり眠れた感じがしないと。
3日目
夜中の痛みも含めて、若干軽減していると。
しかし、足を見てみると腫れが強くなっていますが、腓骨(外くるぶし側の骨)の腫れはあまり出ていません。
さすがにちょっと心配になりましたが、CRPS症状が進行するのは避けなければいけないので、痛みや経過の説明をしました。
この【CRPS】という状態を知らないと、足の骨折からCRPSを発症し痛みが持続していた症例のような経過を辿ってしまうので注意が必要です。
4日目
この日は午前中に整形外科でレントゲン検査を受けてから午後に来院されました。
レントゲン検査の結果は、骨折はナシ。 捻挫の診断でした。
固定具をつけたまま撮影してあります。
なので、実際の足の状態は診察されなかったようです。
マナ接骨院では引き続き、BFI+同固定をしました。
5日目
この日から急に歩き方が良くなりました。
3日目と比べると腫れが引いてるのがわかります。
なぜ、痛みや腫れが急激に改善したのかといえば、『単純に時間の経過』で、という見方もあります。
他にも『BFIを取り入れてたから』と言いたいところですが、1番の理由は・・・
レントゲン検査の結果、骨折がないことがわかったから
だと感じています。
それくらい『安心感』というのは絶大な効果を発揮するもんなんです。
いくら口頭で説明しても、実際に目で見るのとは説得力が違うんですよね。
慢性症状にはレントゲン検査は参考にならない
骨折に関してはレントゲン検査は有益です。
しかし、慢性症状を含めて急性腰痛や40肩・50肩(石灰沈着性腱板炎含む)などはレントゲンで変化が写ったとしても痛みの原因はわかりません。
というのも、現段階では『画像による変化と症状は一致しない』という事が、世界のあちこちで研究結果として出ているんです。
痛みの分野で、日本が遅れてることは間違いありません。
マナ接骨院での足首捻挫の経過
その後も順調に改善していき、途中プライトンを部分的にカットしながら徐々に軽いものにして、受傷から約3週間でプライトン固定を外しました。
固定除去後も、関節拘縮(関節が固くなること)は起こってないので特別なリハビリも必要ありません。
初めの2日は包帯固定をしてましたが、その後はヒモを巻くだけです。
このヒモは特別なものではなく、100均で売ってます。
ヒモトレについてはこちら⇒ヒモトレが腰痛など痛みの症状に変化を及ぼす理由とは?
もう少しで朝の散歩も再開できるでしょう。
まとめ
結果的には初めの見立て通り、骨折ではなく捻挫の診断でした。
骨がずれてしまう骨折でもなければ、処置は大きく変わる事はありません。
受傷から4週間での経過としては非常に順調だったと感じています。
BFI研究会で『脳と痛みの関係』を学び、その上で新しい固定の概念『ニューロフィクス』で処置をしていけば確実に予後は良くなります。
【ケガの痛みでさえメンタルの影響を強く受ける】という事の意味を知りたい方は、10月21日(日)に埼玉県の大宮ソニックシティで講演会があります。
特に柔整師にとっては知っておかなければいけない概念です。
もちろん一般の方の参加も受け付けています。
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